マイセン:日本のためのマイセン・干支プレートが完成するまで

前回、9月11日の更新では、マイセンのイヤーコレクションの、特に「イヤープレート」についてご紹介をしました。
今回は、日本のために特別に作られる「干支プレート」が完成するまでをご紹介いたします。

干支プレートは、1998年の「寅」よりスタートしました。現代マイセンに一時代を築いたハインツ・ヴェルナー教授が、「虎が音楽を奏でる様子」をユーモラスに描いています。
虎が寝転がってますが、実はこれは「酔っぱらった」様子です。もともと「酔っぱらって楽器を弾く動物」は、ヴェルナー教授の得意とするテーマで、この干支プレート以前にもこのテーマでプラークやサーヴィス・セットが作られてきました。

◄1998年干支プレート 「寅」

「酔っぱらって楽器を弾く動物」のテーマについて、ヴェルナー教授がこのように語ったことがあります。
「『酩酊』することで現実を忘れ、楽しく歌い踊る人や動物たち。夢と現実の間の微妙な境目。自分がどちらにいるのかはっきりとわからない、ふしぎな気分。」

1998年から、2009年までの12年間はすべてヴェルナー教授によるデザインでした。見る人を不思議な夢の世界へいざなう動物たちは、まず「ラフスケッチ」が描かれ、マイセンより届きます。

2008年干支プレート「ピッコロを吹く陽気なネズミ」のスケッチです。
画像をクリックするとスケッチの全体画像をご覧いただけます。番号順にご覧いただくと、完成までの過程をお分かりいただけます。

2008年干支プレート「ピッコロを吹く陽気なネズミ」

見ていただいてお分かりになるかと思いますが、少し強面で体つきもなんとなくみすぼらしい感じのするネズミす。これでは日本の皆様にお気に召していただけません。そこで、修正を依頼しました。
届いた修正版です。ネズミの毛並もやわらかくなり、顔つきも目がクリッとしてかわいらしくなっています。またプレートのフォームが丸に変更されています。お気づきいただけましたか?
青と金色の絵具で美しく彩色された最終のスケッチになります。ここから、絵柄の基となる銅版が作られるのですが、色の濃淡など、再現がとても難しそうです。
左側の彩色スケッチと比べて見てください。どちらがスケッチなのか、プレートなのか一瞬見ただけでは、見分けがつかないほど正確に再現されています。

もう一点、2009年干支プレート「ヴァイオリンを奏でる陽気な牛」のスケッチをお見せいたします。2008年干支プレート「ピッコロを吹く陽気なネズミ」とは別の形でスケッチの修正がありました。
こちらも画像をクリックするとスケッチの全体画像をご覧いただけます。番号順にご覧いただくと、完成までの過程をお分かりいただけます。

2009年干支プレート「ヴァイオリンを奏でる陽気な牛」
左側にあるスケッチと比べるとかなり絵の雰囲気が異なるのがお分かりいただけるかと思います。実はこれはヴェルナー教授では無く、別のマイセンのアーティストが描いたスケッチになります。
せっかく、別の提案があったのですが、やはりヴェルナー教授の描いた絵が採用されました。過去11年、ヴェルナー教授のデザインで発表していましたので、最後の年で変更をする訳にはいきません。
彩色された最終のスケッチです。牛の耳の形、しっぽの長さや形、バイオリンの柄など、最終スケッチまで数回の変更があったことにお気づきいただけましたか?最初のスケッチになかったまつ毛も加えられています。
大きな牛が、ヴァイオリンを弾きながら、足で器用にティンパニを踏み鳴らしている姿はユーモアに溢れています。新しい年の到来を華々しく告げ知らせる素晴らしいプレートになりました。

2009年の「ヴァイオリンを奏でる陽気な牛」で、ハインツ・ヴェルナー教授デザインによるシリーズは終わりました。最初の干支プレートの「寅年」から12年経った2010年の「寅」より、現代マイセンのアーティスト、アンドレアス・ヘルテンが担当するようになりました。

2010年干支プレート 「森の中の虎の親子」

深い森の中で虎が雄々しい姿でセタール(ペルシアの楽器)を弾いています。森のしじまに広がる穏やかな音色にこどもたちも耳を傾けているようです。
ヴェルナー教授のデザインと雰囲気が異なり、写実的であるだけでなく、芸術的な趣に溢れる絵柄のデザインとなっています。




デザイン案は数回にわたり、ドイツと日本の間でより良いものにするため、話し合いが行われます。時にはスケッチ画、イメージ画は数枚にもなります。こうしたスケッチ画は、きっとマイセンファンの方には、垂涎のスケッチでしょう。しかし、弊社としては一資料。スチール棚にファイルに入れ保管しています。

インターネットが発展した現在では、メールでやりとりをして、作品の画像を添付して確認をすることができます。しかし大切な部分は、顔を合わせて打ち合わせをする必要がありますので、弊社のバイヤーは年に数回、ドイツのマイセンへ出張します。
今年も既に数回目になるヨーロッパ出張にバイヤーが行ってきました。

◄ドイツ土産のチョコ、マイセンの食器が描かれています

このようなやりとりを重ねて、日本オリジナルの干支を題材にしたプレートや作品が出来上がります。
今年のイヤープレート、アニュアルプレートは発売されたばかりですが、弊社のバイヤーは既に、来年、再来年のデザインに向けてマイセンと打ち合わせを行っております。
少し早いですが、「2014年の世界遺産はどこが描かれるのか?」「アニュアルプレートの童話は?」「干支の馬はどのようなデザインになるのか?」  ご期待ください。

また、毎年、春と秋に全国の百貨店で開催されている「マイセン展」では、貴重な世界限定作品の他に、百貨店独自の企画品や特別品などが展示販売されています。
ぜひ百貨店のマイセン展に足を運び、作品をご覧ください。

※2013年秋10月以降の全国マイセン展のスケジュールはこちら よりご確認ください。
※2013年イヤコレクションも既に全国のマイセンを取り扱う百貨店で販売中です。全国の取り扱い店舗はこちら よりご確認ください。

ハインツ・ヴェルナー(Heinz Werner)
ハインツ・ヴェルナー Heinz Werner
1928年 ザクセン・コスヴィッヒ生まれ

幼少より天性の絵心を発揮し、1943年にマイセン磁器製作所の門をくぐりました。
多くの新しいデザインを発表し、現代マイセンの確立に大きな役割を果たしています。その主な作品としては、「アラビアンナイト」「サマーナイト」「ブルーオーキッド」「アーモンドの樹」「ドラゴンメロディ」などが挙げられます。

製作所を引退した現在でも、ヴェルナー教授の創作に対する意欲は衰えず、絵画やリトグラフの制作にも新境地を開いています。その作品の根本にあるのは、「生きる喜びの表現」。とかく抽象に走りがちな現代美術と異なり、人生の喜びを磁器の上にわかりやすく表現することを心がけているとの事です。また、「夢と現実」の境目、酩酊と覚醒のはざまにも深い興味があり、そこから酒によって歌い踊る、独特の動物たちや神話の人物が描かれています。文字通りマイセンの重鎮でありながら、親しみやすい人柄によっても多くのファンを得ています。


アンドレアス・ヘルテン (Andreas Herten)
アンドレアス・ヘルテン Andreas Herten
1967年、バルト海のそばのウィスマール生まれ

絵を描きたいという熱い思いにかられて国立マイセン磁器製作所の門をたたき1984年から1988年まで、花絵付を学びました。
ハインツ・ヴェルナー教授(1928年生まれ)のもとで研鑚を積み、同氏のデザインによる大きな作品の絵付を手がけるうちに、自由な創作・絵付で頭角を現し、はやくも1989年から芸術の発展をめざすグループに参加。チーフデザイナーであるヴェルナー教授の高弟としてその新しいデザインを共に企画。自由な創作を許す師匠のもとで、プラークなど室内装飾的な作品を多く手がけるようになりました。



Artist Special ~マイセン 「ヴェレンシュピール(波の戯れ)」を生んだアーティスト~

アーティスト紹介 vol.2

アーティスト紹介の第2回目は、マイセン磁器より、「ヴェレンシュピール(波の戯れ)」を生み出した、現代マイセンの造形部長である「ヨルク・ダニエルチュク」とアーティストの「ザビーネ・ワックス」を特集いたします。

ヨルク・ダニエルチュク(Joerg Danielczyk)
ヨルク・ダニエルチュク Jörg Danielczyk
1952年生まれ
現代マイセンの造形部長

1969年にマイセン磁器製作所に入り、造形家の修業をはじめ、1973年から活動を開始。1978年に「芸術の発展をめざすグループ」に入り、長年にわたりペーター・シュトラングとの共同作業を行う。同時期、ドレスデンの造形美術大学で彫刻を、その後、ハレ・ブルクギービッヒェンシュタインの大学で容器造型を学び、さらに経験を積みました。



現在ヨルク・ダニエルチュクは造形家、デザイナーとしてユニカートやシリーズ作品の制作にあたっています。
造形部門の責任者である彼は、様々な作品の制作にかかわっており、「波の戯れ」のフォームのほかに、「コミックバード」をオラフ・フィーバーとともに考案し、2012年 世界限定コレクションにも、彼の作品があります。


ザビーネ・ワックス(Sabine Wachs)
ザビーネ・ワックス Sabine Wachs
1960年ザクセン州のワルムスドルフ生まれ
1986年から2011年まで国立マイセン磁器製作所のアーティストとして活動

子供の頃から絵を描いたり、形を作ったりするのが大好きで、1978年の高校卒業後、コルディツの磁器工場とデーレンブルクのガラス工場で実習を行いました。ここでの経験が1979年からの大学生活に役立だったといいます。その後、ハレ・ブルク・ギービッヒェンシュタインの造形大学に入学し、ブリギッテ・マーン・ディーデリング教授、ハンス・メルツ教授、ハインツ・ヴェルナー教授のもとで絵付を学びました。


「ヴェレンシュピール(波の戯れ)」

「ヴェレンシュピール(波の戯れ)」は、21世紀のマイセンを担うアーティスト集団によって1996年に生まれました。
さざ波のようなレリーフがあるものと、レリーフのないものがあり、いずれも自然を感じさせるフォームが現代の暮らしにやすらぎを与えると人気を博しています。また、やさしいカーブによって飲んだ時の切れが良く、「用の美」も追求されています。

時をかけて生み出された21世紀を代表するテーブルウェアで、カップ&ソーサーのソーサーが独立したプレートとして使えるのも魅力的です。


ホワイト ティーカップ&ソーサー
品番:000000/29633

スイートピー ティーカップ&ソーサー
品番:68A087/29633

青い花 ティーカップ&ソーサー
品番:614701/28633

 


ホワイト ディッシュ
サイズ:径 15.5cm
品番:000000/53576

ホワイト ディッシュ
サイズ:横幅 26cm
品番:000000/53256

ホワイト プレート
サイズ:径 22.5cm
品番:000000/29472

 

今回、ご紹介をした商品は、ジーケーオンラインショップで取り扱っておりますこちらをご覧ください。
また、全国の主要百貨店でも商品をご購入いただけます。マイセンの取り扱い店舗はこちらでご確認いただけます。



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*マイセンの製品は、マイセンオンラインショップ や、アマゾン「MEISSEN MANUFACTORY SINCE 1710 」
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