マイセン伝統の技法「透かし彫り」をご紹介します。
マイセンでは18世紀の初め頃からプレートの縁にレースのような装飾技法「透かし彫り」(メッシュ彫りやカットワークとも言われています)が施された飾皿が作られていました。
この技法は、焼成前の柔らかな磁土を息を詰め、細心の注意を払って一つひとつの文様を切り取る、という大変な手間をかけて作られるものです。
まさに熟練の手技が必要です。
この手仕事の極みともいえる「透かし彫り」が施された豪華なプレートは、18世紀の半ばには最盛期を迎え、籠目や連続する楕円文様などいくつかの種類が生まれました。
MEISSENメモ(109):絵柄「ドラゴンメロディー」のご紹介
絵柄「ドラゴンメロディー」をご紹介します。
現代マイセンの偉大なアーティスト、ヴェルナー教授(1928-2019)が考案した美女と戯れるドラゴンのユーモラスでファンタジックな世界を表現したシリーズ「ドラゴンメロディー」をご紹介します。
ヴェルナー教授の力強い言葉、「誰も龍を見たことはない。私は私のドラゴンを描く。」と共に生まれたこのシリーズは、あたかも現代版「美女と野獣」のようでもあります。
美女たちの奏でる楽の音までが聞こえてきそうな作品です。
ハインツ・ヴェルナー教授
20世紀のマイセンを代表するアーティスト。
マイセン近郊コスヴィヒ生まれ。1943年にマイセン製作所に入ったヴェルナーは、早くから動物や鳥の絵付で頭角をあらわし、1959年に「芸術の発展をめざすグループ」の設立メンバーとなり、多くの新しい作品や陶板画など磁器芸術に新境地をひらきました。
今回ご紹介した「ドラゴンメロディー」をはじめ、「アラビアンナイト」「サマーナイト」「ブルーオーキッド」など、メルヘン、幻想、自然の光と影、夢、それらを生命の充溢の中に描いています。
MEISSENメモ(107):マイセンを代表する
カップ&ソーサーのフォームのご紹介
マイセンを代表するカップ&ソーサーのフォームをご紹介します。
マイセンを代表するカップ&ソーサーのフォーム「ノイアー・アウスシュニット」。
型番号は「00582」をはじめ、「01582」「02582」などがあります。
1745年にマイセン初期の天才造形家、ケンドラーによって創作されました。
「ノイアー=新しく、アウスシュニット=切り出した」という意味です。
花びらのような口縁部に特徴があり、口縁の形から別名「ロゼット」(バラの形の装飾)とも呼ばれています。
縁の部分に切り込みをいれたこのフォームは、人間工学的にも計算されており、口当たりが非常によいカップです。
原型となる型は国立マイセン磁器製作所内にある原型収蔵庫に大切に保管されています。
今も保管されている原型から、実際に作業で用いる石膏型を作り、
その作業型に磁土を流し込んで、さまざまなパーツを作っています。