MEISSENメモ(110):マイセン伝統の技法「透かし彫り」のご紹介

マイセン伝統の技法「透かし彫り」をご紹介します。
 

透かし彫りの制作風景

マイセンでは18世紀の初め頃からプレートの縁にレースのような装飾技法「透かし彫り」(メッシュ彫りやカットワークとも言われています)が施された飾皿が作られていました。
この技法は、焼成前の柔らかな磁土を息を詰め、細心の注意を払って一つひとつの文様を切り取る、という大変な手間をかけて作られるものです。
まさに熟練の手技が必要です。
この手仕事の極みともいえる「透かし彫り」が施された豪華なプレートは、18世紀の半ばには最盛期を迎え、籠目や連続する楕円文様などいくつかの種類が生まれました。
飾皿「桜」*世界限定25点
品番:54M73/255684、径:約25.5cm
透かし彫りが、あたかも籠のようにプレートを囲み、中央には自然主義の手法で桜の花を描いています。

飾皿「クジャクとモクレン」*世界限定25点
品番:54M66/57A284、径:約25.5cm
クジャクの絵付はペンと筆を用いて、精緻さと柔らかさのコントラストを生み出しています。

飾皿「花と果物」*世界限定50点
品番:54M66/210184、径:約25.5cm
マイセン初期の絵付技法による瑞々しい花と果物が描かれています。フォームとデザインがこの上なく優美な調和を見せる逸品です。

飾皿「バラの絵付」*世界限定50点
品番:54M73/138384、径:約26cm
透かし彫りによる造形、贅沢な金彩できらびやかに彩った見込み部分、満開のバラの絵付―。すべてにマイセンの伝統が凝縮されています。

飾皿「鶴」*世界限定50点
品番:54M67/61A174、径:約25.5cm
レリーフで表現された白鳥がたゆたう湖の上を飛翔する鶴。白磁を生かした大胆な構図です。

飾皿「貼花のあるプレート」
品番:54M71/208184、径:約25cm
繊細に描かれた葉がバラを取り囲み、花の女王を引き立てています。
縁の装飾には淡い彩色が施され、フォームと絵付による調和のある全体像を際立たせています。

飾皿「実りの秋」
品番:54804/24A052、直径:約29cm
豪華な飾皿に実りの秋が表現されています。果物を得意とするアーティスト、ホルスト・ブレッチュナイダーらしい作品です。

飾皿「蔦をからめるトケイソウ」*世界限定75点
品番:54M72/20A384、径:約26cm
トケイソウ(和名:時計草)は、マイセン磁器に描かれることは非常に珍しく、虫を配した18世紀的な伝統の画法を用いながら、グリーンとピンクによって独特な新しさも醸し出されています。

飾皿「エキゾチックな鳥」*世界限定50点
品番:54M33/26A073、径:約29cm
透かし彫りと金彩が、エキゾチックな鳥や昆虫たちを美しく飾り、エレガントな逸品に仕上げました。

飾皿「チューリップ」*世界限定25点
品番:25A174/54M33、径:約29cm
春を告げるチューリップが自然主義の手法で描かれ、光と影、絶妙なグラデーションで繊細に美しく表現されています。(日本未入荷)

飾皿「チューリップ」


MEISSENメモ(109):絵柄「ドラゴンメロディー」のご紹介

絵柄「ドラゴンメロディー」をご紹介します。
 

現代マイセンの偉大なアーティスト、ヴェルナー教授(1928-2019)が考案した美女と戯れるドラゴンのユーモラスでファンタジックな世界を表現したシリーズ「ドラゴンメロディー」をご紹介します。
ヴェルナー教授の力強い言葉、「誰も龍を見たことはない。私は私のドラゴンを描く。」と共に生まれたこのシリーズは、あたかも現代版「美女と野獣」のようでもあります。
美女たちの奏でる楽の音までが聞こえてきそうな作品です。











ハインツ・ヴェルナー教授
(1928-2019)

ハインツ・ヴェルナー教授
20世紀のマイセンを代表するアーティスト。
マイセン近郊コスヴィヒ生まれ。1943年にマイセン製作所に入ったヴェルナーは、早くから動物や鳥の絵付で頭角をあらわし、1959年に「芸術の発展をめざすグループ」の設立メンバーとなり、多くの新しい作品や陶板画など磁器芸術に新境地をひらきました。
今回ご紹介した「ドラゴンメロディー」をはじめ、「アラビアンナイト」「サマーナイト」「ブルーオーキッド」など、メルヘン、幻想、自然の光と影、夢、それらを生命の充溢の中に描いています。

MEISSENメモ(107):マイセンを代表する
カップ&ソーサーのフォームのご紹介

マイセンを代表するカップ&ソーサーのフォームをご紹介します。

マイセンを代表するカップ&ソーサーのフォーム「ノイアー・アウスシュニット」。
型番号は「00582」をはじめ、「01582」「02582」などがあります。
1745年にマイセン初期の天才造形家、ケンドラーによって創作されました。
「ノイアー=新しく、アウスシュニット=切り出した」という意味です。
花びらのような口縁部に特徴があり、口縁の形から別名「ロゼット」(バラの形の装飾)とも呼ばれています。
縁の部分に切り込みをいれたこのフォームは、人間工学的にも計算されており、口当たりが非常によいカップです。
原型となる型は国立マイセン磁器製作所内にある原型収蔵庫に大切に保管されています。
今も保管されている原型から、実際に作業で用いる石膏型を作り、
その作業型に磁土を流し込んで、さまざまなパーツを作っています。

ノイアー・アウスシュニット/型番号00582
マイセンのバラ、様式的な花、ヒナギクと忘れな草、
ワインリーブ、ブルーオニオンスタイル、果物などさまざまな絵柄が描かれています。

 

美しく口当たりの良い口縁/持ちやすいカーブに、植物を想わせる持ち手

 

ティー/コーヒー兼用のものは、カップとソーサーの容量が同じになっており、
「一度、カップの中の飲み物をソーサーに移し、冷ましてから飲んだため」という説が通説になっています。
カップを安定させるための中央のくぼみがないソーサーが多く、
スイーツや果物用などの取り皿にできるなど、さまざまな用途で使える点も魅力です。

 

作業型/滑らかな表面は絵付にふさわしくマイセンを代表する絵付の数々がこのフォームを彩っています。

 

ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー(1706-1775)
Johann Joahimm Kaendler
18世紀のマイセンに偉大な足跡を残した造形家。
アウグスト強王の命により数え切れないほど多くの人形、動物彫像、サーヴィスセットを作り上げました。
1706年、ドレスデン近郊のフィッシュバッハ生まれ。
ベンヤミン・トーマエの芸術工房で修業。
師と共に王の宝物館「緑の天井」に収める作品の制作に携わり、1730年にはその功績が認められて宮廷彫刻家となり、
1731年、王の指示でマイセン製作所に入りました。
1735年からは精力的にサーヴィスセットの開発を行ないました。
ヨーロッパ卓上文化の最高峰といわれる「スワンのサーヴィスセット」もケンドラーによるものです。
圧倒的な質の高さは、彼が不世出の天才であることを物語っています。
作品点数も膨大なもので、まさにマイセン造形の祖ということができます。



 
 
 
 




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